コラム

【スタッフコラム】祖母のもてなしごころ

祖母の家に遊びに行くときに、ずっと心がけていたことがあります。
それは、祖母の家に上がった時は、客は客らしく自分たちは何もせずにお茶が出されるのを待っていたことです。

孫の私達が遊びに来ると、
「お茶飲むかいね~?」と必ず尋ねてくるので、
私達は「ありがと~」とだけ返して茶の間に座る。
祖母は、よいしょと立ち上がり、よろよろと台所へ向かい、
体に染みついた慣れた手順で茶をいれてくれる。
「お菓子は何がいいかいねぇ~、たいしたもんなくてごめんねぇ~」
と言いながら、
「あるものでいいよ~!」と、茶の間にいる私達は声を張り上げて祖母に伝える。

そんなあたりまえのやりとり。
お菓子だっていつ誰が来てもいいように、十分過ぎるくらいストックがあることを孫達は知っている。
でも、茶を淹れ、お菓子を選ぶ、そんな祖母の姿はなんだかとても楽しそう。

さすがに、足腰が悪くなってからはお運びのお手伝いはしましたが、
祖母の、“お茶をいれて客をもてなす”楽しみは、奪わないでおこうと思いました。

祖母がお茶屋に嫁いでから70年以上続けているごく日常の風景。
あたりまえだけど、とても贅沢な一杯。
いつも美味しく頂きました。

祖母は昨年、92歳で亡くなりました。
晩年は老人ホームに入り、寝たきりの状態でしたが、お見舞いに来た私たちにもお茶を出そうとしてくれました。
もちろん自分は動けないので介護士さんに「孫にお茶出してちょうだい!」と指示をしていましたが、笑
最後まで、もてなすこころを忘れない人でした。
その姿をみて、かっこいいなぁと、孫ながらに感じました。
そして人をここまで動かす”お茶の力“にも驚かされました。

祖母の茶をいれる姿は今でも目に焼き付いています。
祖母の残してくれたもてなしごころはきちんと受け継いでいきたいと思いました。

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